2000/10/06/(Fri)  回転翼を担いで

自転車に乗って『賢者のプロペラ』を買いに行く。一軒目、無し。それどころか、ひ行から「平沢」と「ピーモデル」が消えていた。二件目であっさり入手。ウォークマンで聴きながら、意気揚々と帰る。道々、遠く山の中腹を、雲間の陽が差し照らすのを眺める。神々しい程に輝いて見えるから、不思議である。
音楽家・「平沢進」から音楽を取ったら、後に残るのは、某県在住の落語好きでエコ好きな、ただの江戸っ子だ。その江戸っ子がひとたび、古の蓮の歌を朗々と歌えば、そこには円環する無限宇宙が出現する。生まれ落ちる時代を間違えた、現代の吟遊詩人。「平沢進」という蛇口を必要とする、一つの夢、一つの宇宙、一つの時空が存在するのではないか。……そんな世迷い事を想わずにはいられない。ディスクに印刷されたプロペラが、力強く回転する間は。

ところで、錬金術における「黄金」の精製とは、現実におけるAu・金ではなく、真理への到達を意味するという。ルベド、ニグレドと言った精錬の各過程は、宇宙的真理へと近づく精神の段階を暗に語っているのだそうな。小難しい隠喩だらけなのは、「黄金」を手にする資格のある者を選別するため。なんと、まぁ。東洋の賢い人達は、誰にでも解る言葉でそれを説いたのに……。西洋の賢者はケチですな。(20001007)

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